『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情⑥〜中国で最初にオンエアーされた日本のアニメ
中国における日本のアニメの歴史は意外と浅いことを本書で知った。アメリカでは1960年代前半から東映動画作品が公開されてり、『鉄腕アトム』は日本と同じ年(1963年)にシンジュケーション・ネットワークでの全米オンエアーがはじまっていた。
中国で日本のアニメが最初に紹介されたのは1980年であった。作品は奇しくも『鉄腕アトム』である。(遠藤氏は、「1981年に『鉄腕アトム』がさっそうと現れた」と書いているが、同書で手塚プロの松谷社長が1980年と言っているため、1980年とする)。
その頃中国は、内戦状態に近かった文化大革命後が終わってばかりで、まだ殺伐とした雰囲気が抜けない状況にあった。そんな事情のため海外の文化に触れる機会がなかったこともあり、希望に満ちた科学の子アトムは中国人民に熱狂的に受け入れられたという。
この『鉄腕アトム』の中国放映について非常に興味深いエピソードが紹介されている。どういう話かといえば、中国におけるアニメ制作費が安いのはアトムのせい、というのがご当地での「定説」というものである。
日本でもアニメの制作費が安いのはアトムのせいというのが「定説」になっている。中国初の日本製アニメが『鉄腕アトム』であったことは偶然であろうが、どうもアトムはこういう話に巻き込まれる運命になっているらしい。
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