『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情⑩〜日本のアニメがなぜ世界中に浸透したか
アニメを買う側(流通サイド:興行/放送/販売)としてその購買対象となる選択肢はほとんど三つに限られる。自国のアニメ、日本のアニメ、アメリカのアニメである。これ以外にもあることはあるが数量的に市場ニーズを満たすものは限られる。
この三つの選択肢をコスト的に見れば自国製アニメ→アメリカ製アニメ→日本製アニメの順になる。国によって物価の差はあるがやはり自分たちでアニメをつくるのが一番高い。次はアメリカ製アニメである。製作費が高いこともあるが、古い歴史の中で国際的な相場が築かれている。
それらに比べて日本のアニメは国際流通の歴史も浅かったこともあり、初期においてはアメリカ製アニメと比べてかなり安かったと推測される。したがって、大量のプログラムを必要とする放送局では、言葉は悪いがまとめて安く買える作品として重宝したのではないか。
おそらく、最初は日本のアニメに内容まで期待していた国はほとんどなかったであろう。実際、かなり長い間日本製のアニメのイメージはそれほど高くなかった。ところが、実際放映してみると意外に人気がある。しかも在庫は大量にある。これだったら自国のアニメをつくるより遙かに安いし、アメリカのアニメを買う必要もなくなる。
ということで日本のアニメに走るのだが、そうしていくうちに当然のことであるがそのスキームにはまってしまう。フランスや韓国、中国のように国家から規制でもかけられない限り、その状況から逃れられなくなり、結果として世界のアニメの65%は日本製という市場が生まれたのであろう。
現在、中国では凄い勢いでアニメが製作されている。その生産量は日本やアメリカに次ぐ量となりつつあるが、果たしてそれらのアニメが海外市場に出て行ったとき、価格を含めどのような評価を受けるであろうか。国内と違って統制の効かない自由市場では作品に対する評価がダイレクトに出る。それに対し中国がどのような戦略に出るのであろうか。
コメント