『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情⑰〜中国製アニメのビジネスモデル/中国アニメキャラクターの市場は100億元、それとも1000億元?
10兆円の市場規模を誇る中国の動漫産業。だが、ちょっと考えると、おや?と思う点が幾つかあると述べた。
まず、そもそもこのデータ自体の信憑性である。中国の動漫市場については2005年6月に発表されたジェトロ市場開拓部による「中国アニメ市場調査」には次のように書かれている。
「実際の(動漫)市場規模については、正確な公的機関によるデータは発表されていません。ここでは、いくつかの方法で市場の試算をしていますが、 全体を正確に把握することは難しく、あくまで参考にしていただくための数値です」
また、次のような記述もある。
「関係者の話として、中国アニメキャラクターの市場は100億元とも1000億元とも言われており、映像 ソフトにしても様々な数字が挙げられていますが、正式な統計や代替になるような数値はありません。また、中国の映像ソフト・キャラクタービジネス市場において海賊盤の問題は大きく、市場のほとんどを海賊版が占めているとも言われています。映像ソフト・キャラクターグッズの正規版に関して、各社公式に発表しておらず、公的な統計データもありません」
この報告書は2005年6月のものであるから、調査自体は2004年までに行われたことになる。一方、遠藤氏の本に出てくる民間の投資コンサルト会社のデータはおそらく2006年か2005年のものと思われるので、そういう意味では中国初の動漫市場データなのであろう。
この中国初と思われる動漫市場データは、それまで「中国アニメキャラクターの市場は100億元とも1000億元とも言われて」いた五里霧中状態の動漫市場に対し、ともかくひとつの目安となる数字を提示したということは大いに評価できる。公的機関の数字が出てくるとは思えないので(対象を正規商品絞ると市場規模がおそらく極端に小さくなり「現状」を反映しないものとなる。かと言って海賊版も入れてしまうと規模は大きくなるが、それはそれで認めたことになるので、そのジレンマから「公的データ」を出せないのではないか)、今後も是非継続的に市場調査を行ってもらいたいのは山々であるが、このデータ果たして「100億元とも1000億元とも言われて」いた「中国アニメキャラクターの市場」の実態を正確に映し出すことに成功したのであろうか?
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