『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情㉕〜中国のアニメ政策事情/ライセンスを取り消されたアニメ番組
役所の判断で完成した作品がオンエアーできないというような状況は製作者に取って余りにもリスクが大きすぎると述べた。しかしながら、実際そういったケースはほとんどないのではないかと推測される。なぜなら、国産アニメを大奨励中の現在、かなり判断基準が甘くなっていると想像されるからで、実際許可が下りたあとに、政府の判断とは関係なく放送中止に追い込まれた例もあるからだ。
遠藤氏の『中国動漫新人類』によると、中央電視台(中央テレビ局)小児チャンネルで放映された『虹猫藍兔七侠傳』という番組は子どもに非常に人気を博したのであるが、余りに暴力的なため父母からの抗議が殺到し2クールで放映を中止したそうである。これは社会的な声を無視できなくなったテレビ局の判断であるが、そのような番組の「アニメ発行許可証」を与えた広電総局の審査基準はどこにあったのか。
おそらく広電総局の基準は、当たり前かも知れないが倫理性といったものより政治性に強く置かれているのであろう。テレビドラマの制作にあたって、「重大な革命・歴史をテーマとするテレビドラマの撮影・制作」をする際には、「事前に広電総局の認可を得る必要がある」という決まりがあるように、政治的センサーに引っかからなければほとんどOKなのではないのか。
だから、暴力的な国産アニメは大丈夫でも、日本のアニメ作品を真似た作品はNGなのであろう。2006年の通達では、「海外のアニメに加工や者修を施すようなことは絶対してはならない」として、日本のアニメを盗作した作品の「発行許可証」を取り上げたという。このことからも広電総局の目がどちらに向いているか明らかであろう。(その割には、クレヨンしんちゃんそっくりと中国でも話題になっている中国製アニメに対してはそのような処置が取られていないようだが。一定の基準ではなく人によって判断が変わる人治主義の国なのであろうか)。
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