第7回東京国際アニメフェア⑨〜迫力満点、マッドハウス劇場アニメラインアップ
話を元に戻すが、マッドハウスの劇場アニメラインアップには驚いてしまった。見たい作品が目白押しである。
『メトロポリス』(2000年)以来になるりんたろう監督の『よなよなペンギン』はフル3Dアニメである。宮崎駿氏と同年齢のりんたろう氏が3Dアニメにどのように取り組むのか、また2Dアニメの牙城ともいうべきマッドハウスがどのような制作体制を取っているのか非常に興味深いものがあるが、プロダクションについては同じインデックス参加のダイナモピクチャーズ(ゲーム映像などを数多く手がけている)という3Dアニメプロダクションを中心に制作を行っている模様である(りんたろう氏はダイナモの取締役でもある)。
既にデモリールを見た方も多いと思うがハリウッドとは違ったアプローチの3Dアニメになりそうだ。ベルリンのマーケットで非常に評判がよかったと聞くが、この作品の興行成績次第で日本の3Dアニメが活性化する可能性も十分あるはずだ。来年公開とのことだが『メトロポリス』以来の長編に期待するなといっても無理である。
今敏監督の『夢みる機械』は初のジュブナイル作品である。あの今家督が、と思ってしまうが、十代に向けてどのようなアニメづくりをするのか全く予測できないが、そこは今監督のことである。おそらく、いや絶対一筋縄ではいかない作品になるのは間違いないであろう。捻りに捻った仕掛が至る所に込められているはずであが、今監督のことである。その上を行くサプライズがあるかも知れない。
最近の今監督作品は2作続いてソニーピクチャーズの配給であったが、今回は興行的には非常に大きなチャンスになると思われる。今まで作品の評価の割には興行面で恵まれてなかったが、ジュブナイル作品ということもあり一般層に対する認知度はかなり高まると思われる。そうなれば過去の作品に対する再評価がなされる可能性は十分ある。おそらく、2010年の公開になると思われるがこちらも早く作品を見たいものである。
西村聡監督の『ヒューマノイド・タイフーン、再び』は久々の演出作品である。『トライガン』『はじめの一歩』で見せた熱い演出がよみがえるか思わず期待してしまうところである。全霊を捧げた『はじめの一歩』で明日のジョーのように燃え尽きてしまったかに見える西村監督であるが、果たして今回の作品の明日はどっちであろう。
これらの作品の他にも話題作が一杯である。小池健監督の『RED LINE』、片渕須直監督の『マイマイ新子と千年の魔法。』。そして、水島努、細田守、小島正幸の新作である。まだタイトルも決まってないが、どのような作品を撮るのであろうか興味は尽きない。
これらの作品群を見ると、今年公開される宮崎、押井作品以降の劇場アニメに占めるマッドハウスの存在感はかなり大きなものとなってくる。おそらく、2010年〜2011年における劇場アニメはマッドハウスに席巻され、同じスタジオで賞を争うことになるであろう。リスクの高い劇場アニメ製作ではあるが、日本のアニメ産業の更なる活性化のためにもその成功を願いたい。
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