第7回東京国際アニメフェア〜ディズニー出身者をジブリの社長に選んだわけ
ディズニー・ジャパンの人間が「ディズニーで働いています」というと、かなりの頻度で「ディズニー・ランドで働いているのですか?」と言われるそうだが、日本のディズニー・ランドはオリエンタルランドという京成電鉄と三井不動産を中心とするれっきとした国内企業の経営である(日本のディズニーランドが大ヒットしたので、あとでアメリカのディズニー本社が自分でやればよかったと悔しがったそうな。ちなみにディズニー・ストアーもオリエンタルランドの経営である)。では、日本のディズニー(ジャパン)は一体何をしている会社であろうか。
蛇足であるが、子会社を沢山抱えるオリエンタルランドの中で唯一エンタティンメント・コンテンツ系の会社としてあるのがOLC・ライツ・エンタティンメントである。「ネポス・ナポス」というオリジナル・キャラクターなどを持っているが、昨年末『ルドルフ〜赤鼻のトナカイ』という海外でクリスマスの定番となっている持永只人制作の人形アニメをDVDリリースして話題になった。
アメリカのディズニーは、元々スタジオ(アニメ・映画製作、配給)、コンシューマー(キャラクター・ライセンス)、ディズニー・ランドの三位一体で長年歩んできた。ところがメディア規制が解けた1990年代からテレビ局(ABC)、CATV(ディズニー・チャンネル、ESPN)などを次々と買収しながら垂直統合を成し遂げ一大メディアグループとなる。
それに対して、日本のディズニーはディズニー・チャンネルなどのメディアを持っているものの基本的にはアニメや映画作品、音楽、キャラクターのライセンス事業が主である(141で書いたように最近『リロ&ステッチ』の制作を日本で行うなどローカル・プロダクションもはじめたが)。つまりは、ディズニーが持っているプロパティの価値をライセンスという行為を通じて最大限にするのがその使命なのである。
こうして見ると、なぜディズニー・ジャパンの超ビジネスマンである星野氏がジブリの社長となったのかが見えて来るであろう。1980年代にディズニーが過去の劇場アニメタイトルをビデオ化し数百万本のセールスを記録したようなことを星野氏は求められているのではないだろうか。
そう、星野氏のミッションはジブリのプロパティの価値を最大限に高めることなのである。もちろん、価値を高めるということを現実的な言葉で言えば如何に高く、如何に沢山売るかということになるのだが、なにゆえに孤高にして高潔なジブリがこのようなコンシューマビジネスを意識するようになったのであろうか。
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