岩波ジュニア新書アニメ関連本⑤〜鈴木伸一『アニメが世界をつなぐ』〜ラーメンの小池さんといえば
岩波ジュニア新書アニメ関連本の2冊目は鈴木伸一『アニメが世界をつなぐ』である。鈴木伸一さんといえばすぐに思い浮かぶのは『オバケのQ太郎』に登場するラーメンの小池さんであり、今であれば杉並アニメーションミュージアムの館長としての顔である。この本はそんな鈴木さんが現在やっておられる活動やトキワ荘時代を含む自伝的な事柄が書かれている。 杉並アニメーションミュージアムがオープンしたのは今から3年前の3月のことである。予算(杉並区から予算が出ているが少ない)、立地条件(駅から遠い)や建物の環境(古い)を考えると決して恵まれた施設とはいえず、オープン当初からその先行きが心配されていたが現在でも客足は衰えていない。 正直言って、アニメ業界から見るとさほど商業的なメリットはさほど感じられないミュージアムであるが、毎年様々な企画展やイベントが途切れないのは館長の鈴木さんの熱意と人柄によるところが大きいと思う。アニメ業界で「小池さん」に頼まれてイヤと言える人はいないということもあるが、鈴木さんのアニメを思う純粋さや熱意に惹かれる人間は多い。
この本で鈴木さんがユネスコのアジア諸国向けのアニメをつくっていることを初めて知った。17年前からやっておられるそうだが現在も継続中とのことである。その他にもユネスコの環境問題を取り扱ったアニメや、NHKの『おじゃる丸』のオープンニング、アニメユニットでの自主制作など現役でアニメの制作を続けている。
鈴木さんは1933年(昭和8年)生まれというから今年75歳である。同年齢には故藤子・F・不二雄氏がいるが、現役でアニメをつくっている人間としてはおそらく最高齢の部類に入るであろう。1年上の辻真先さんも異様に若いが鈴木さんも全く年齢を感じさせない若々しさ持っている。実際お会いしても小池さんという歴史上の人物ということを考えなければ60代前半に見える。そんな鈴木さんの今までの人生に初めて接することが出来たのがこの『アニメが世界をつなぐ』である。
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