海部美和『パラダイス鎖国』(アスキー新書724円+税)3〜日本語の歌詞はロックに向かない/ゴールデンカップスその1
昔の音楽の話になるとついつい長くなってしまうがお許し願いたい。
洋楽指向の極端な例としては1960年代後半に活躍したゴールデン・カップスの例がある。グループサウンズに類別されている彼らであるが、横浜の本牧をホームグラウンドとするそのサウンドは100%英米の最先端ロックのコピーであった。そのためデビューするときに日本の歌詞がうまく唄えず苦労したというエピソードもあるほどだ。以下、アニメとは余り関係ないが日本文化の受容を考える上で参考になると思うので記しておきたい(単にゴールデン・カップスが好きなだけであるが)。
ゴールデンカップスは1960年代のロックシーン間違いなく一番カッコよかったグループである(男から見た視線であると思うが。ロック硬派には人気があったグループである)。『長い髪の少女』といった歌謡曲ティストのヒット曲があるので(皮肉なことにこの曲は一番カップスらしくない曲である)、一応「グループサウンズ」の枠内で語られることが多いが、雨後の竹の子のように出現したそれらのグループとは一線も二線も画した1960年代最高のロックバンドである(あくまで個人的観測である)。
ゴールデンカップスは1966年に本牧にあった“GOLDEN CUPS”というクラブをホームグランドとしてボーカルのディブ平尾をリーダーとしてに成されたバンドである。今と違って海外の音楽情報が半年遅れであったその当時、カップスは最新のR&Bやロックを演奏する実力派としてたちまち評判になり、東京からスパイダースなどのミュージシャンが聞きに来るようなバンドであった。
実際カップスのファンにはチャー、忌野清郎、矢野顕子といったミュージシャンが多く、その意味でミュージシャンズ・ミュージシャン(ミュージシャンが尊敬するミュージシャン)のバンドなのであった。
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