境真良『テレビ進化論 映像ビジネス覇権のゆくえ』(講談社現代新書720円+税)7〜大幅な輸入超過
デジタルコンテンツ白書を見ると2007年の国内コンテンツ売上の総額は14兆円弱である(この中にコンサート入場料は入っているが演劇などの実演系コンテンツの数字が入っていない。なぜであろうか。実演も立派なコンテンツだと思うのだが。また、本来ならインディーズ音楽市場、コミュケなどの同人誌市場などもそろそろ入れてもよいのではないだろうか。まあ、どうやって調べるかは難しい問題であろうが)。
その中でも一番多いのが放送産業で3兆8千億の収入があった。2位の新聞が2兆3千億強なのでかなり差をつけていると言ってもよいであろう。CATV、衛星放送など部門ごと分かれているが民放全体とNHKだけでも3兆円の収入がある。やはりコンテンツ産業界の中ではずば抜けている。
日本のコンテンツ産業で一番問題なのは最大のシェアを誇る放送コンテンツが海外市場でほとんど流通性を持ってないということであろう。「6月20日に総務省が発表した「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」調査によれば2005年に83億円から88億円と推計している。このうち31.8%がアニメであることから、地上波テレビアニメの2005年の海外向け番組の年間売上高は26億円から28億円と見られる」(アニメ!アニメ07年6月21日)
車や家電といった産業などを見ると国内でも売れている商品はかなり輸出超であると思われるが、放送コンテンツに関しては相変わらず盛んな韓流ドラマや好調なアメリカドラマを考えるとおそらく大幅大幅な輸入超過ではないか。それにしても3兆円に対し海外からの売上が1%たらずのたった30億円弱しかないというのは考えものである(しかしながら、たぶんこの総務省の数字は違っていると思われる。アニメの数字があまりにも低すぎる。従ってテレビ番組の数字も低いと思われるが100倍違うといったレベルではないであろう)。
コメント