境真良『テレビ進化論 映像ビジネス覇権のゆくえ』(講談社現代新書720円+税)9〜せこいとしか言い様がない制作の現場
放送コンテンツも世界で勝負すべきだと言うとそんなの無理だ、できっこないという話が聞こえてきそうだが、そんなことはない。トヨタやパナソニックができることが放送局にできない訳がない。リクルートでの人気ぶりを見てもわかるように放送局には優秀な人材が山ほど揃っているはずである。それもあって製作能力は映画を含め断トツであるのは誰しもが認めることである。そんな放送局の有能な人材をこれ国内だけでつかうのはもったいなさ過ぎる話である。アニメは別として世界に通用する映像コンテンツをつくれる可能性があるのはどう考えても放送局以外にない。
しかしながら、その現状は余りにも情けない。あの「発掘!あるある大事典Ⅱ」で制作における悲惨な現実が白日の下にさらされてしまった。下記の数字は番組のお金の流れであるが、スポンサーから出た1億円が以下のように分配されていたという流れを示している。
電通1,500万円
関テレ電波料500万円
地方局電波料5,000万円
関テレ制作費2,340万円
制作会社860万円
関テレがどこまで制作に関与していたかわからないが(関テレからキャスティング費用は出ているのだろうか?もし出ていないとしたら悲惨だ)、実質的に番組を制作している会社に回る金額がわずか860万。しかも、これは1時間番組である。ゴールデンタイムのアニメ(30分)でもこれくらい制作費(放映権料)が出ている番組はある。うーん、余計なお世話であるが天下の放送局にしては何ともせこいとしか言いようがない。制作に対するこの取り組みを見ているとどんなに能力があっても宝の持ち腐れになるのではと思わず悲観的になってしまう。
日テレの第1四半期のスポット広告収入の落ち込みが想定以上だったそうで、どうするのかと思いきや、制作費を抑えるそうです。
もっと良い物を作ろうと多少ボーナスを抑えるとかしても良さそうなものですが、何を考えているんでしょうね。さっさと次代のメディアに電波を明け渡して欲しいものです。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK012307920080613
投稿情報: KEI | 2008/06/18 21:03
コメント有り難うございます。
制作費を落とすということは外部への支払いを少なくしようということですが、ひとたびこのトレンドに入るとクオリティの向上は望めなくなり、その結果視聴率が落ち、収入がさらに減るという悪循環を生み出すと思います。
キムタク大臣が遂に視聴率王者の座を明け渡しました。ここらへんで思い切って海外で銭の取れる番組にトライしてみてはどうでしょうか。
投稿情報: 増田 | 2008/06/19 11:40