金子満『シナリオライティングの黄金則 ー コンテンツを面白くする ー』(ボーンデジタル/3,990円税別〜一億総クリエータ時代における画期的な脚本ノウハウ本
一億総クリエーターに突入した現在、日本人は何かしらコンテンツ制作に関わることになるであろうが、その場合ブログでもケータイ小説でもいいのだが是非シナリオに挑戦して欲しいものである。
「映画は脚本次第」とはよく言われることであるがそれが映像の設計図であるからで、いい脚本から必ずしもいい映画は生まれるわけではないがその逆は有り得ない。それを考えると日本にいい映画が少ないのは要するに優れた脚本=脚本家が少ないということが言えるかも知れない。
日本で脚本家を志す人間が少ないのには幾つか理由があるが、その中のひとつに執筆のノウハウがよくわからないということが上げられるであろう。マンガであれば見た通り模倣することで学べるがシナリオの場合はそういう訳にも行かない。アメリカではその種の脚本の入門書、ノウハウ本が山のように出ており、シナリオライターを目指す人間の指針となっているが日本ではほとんど見かけない。
その意味でこの『コンテンツを面白くするシナリオライティングの黄金則』は待望の書である。この本が今までに出たシナリオノウハウ本と大きく異なるのは、古今東西の名作映画を工学的に分析して得られたデータに基づいた「黄金則」に従って書けば誰でも一定レベルのシナリオが書けるということであろう。サルでも書けるとは言わないがその意味である種究極のノウハウ本である。実際著者が奉職している大学で必ずしも脚本家志望ではない学生にこのメソッドで書かせたところ十分評価に値する作品が出来上がったとあるが、実際読んでみると書けそうな気がしてくるのは確かである。
もし何らかのストーリーアイデアを持っている人間がこの「黄金則」に沿って執筆すればおそらくまとまった形のシナリオになるであろう。時間があれば私も是非このメソッドに沿って一度シナリオを書いてみたいと思った次第である。
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