中村伊知弥『「通信と放送の融合」のこれから』(翔泳社/2,200円税別)〜世界一の日本のブログ数
堺氏の次に紹介したいと思うのは同じ官僚出身(境氏はまだ経産省に籍があるようだが)でこちらは総務省を本籍とした中村伊知弥氏の本である。この方は既に『インターネット、自由を我等に』(アスキー出版局)、『デジタルのおもちゃ箱』(NTT出版)、『日本のポッポパワー』(日本経済新聞社、編集)などの本を出版されておるのでご存じの方も多いかと思う。
中村伊知弥氏の略歴を見ると「少年ナイフ」のディレクターでありご自身もベースを弾いていたとのことで、そういう意味で異色の官僚であったことは想像に難くないあが、だからこそ現在のメディアやコンテンツの関しもの申せるのであろう。
この本は非常に多くの情報・知識が集約されているが話の切り口が具体的なので読みやすく、現在のコンテンツを取り巻く状況がよくわかる。残念ながら筆者にはこの本全体を読み解くレベルにはないのだが本書の中で一番興味を引かれたブログに関する記述である。
既出の情報であろうが「世界中のブログで一番多く使われている言語は、日本語だという。日本語のサイトが37%を占め、英語の33%を抜いたという」というのには正直驚いた。ブログも立派なコンテンツのひとつである。その言語量が英語圏を上回っているというのだ。
アメリカを中心とする英語圏の国はイギリス、カナダ、オーストラリアなどがあり、その使用人口は3億8千万人ほどである。その対し日本は1億3千万人弱である。単純な対比で行くと3:1であるがブログの数では4%ほど上回っている。この現実をどう見るか。
中村伊知弥氏は日本のコンテンツ産業の将来はポップ・カルチャーにあると思っているようであるが、このブログに見られる状況を考えると一億総クリエーター時代に突入しているように思える。
ブログのことはホンの一端でこの書にはアニメビジネスを含め学ぶべき点が多数書かれてある。一度目を通すことをお勧めする。
話は変わるが本日から杭州へ6日間ほど出張となる。動漫産業の視察とセミナーでの話が目的であるが、向こうに着いてみないとどうなるかわからないということもあり今月いっぱいはこのブログをお休みさせて頂くかも知れない。いずれにせよ中国動漫状況についてはレポートするつもりである。
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