中国訪問記8〜中国におけるアニメ製作ブームの実態
セミナーにおける質疑応答だけではなく、今回の中国訪問を通じて感じたことであるが、アニメ製作・制作に従事する事業者がこの業界に参入した大きな理由のひとつに政府主導のアニメブームに乗じたという側面があったようだ。それもあって、高度成長によって生まれたVC投資熱がアニメに向かい多くの資金が投下されたのであ。まあこのような現象は別に中国に限ったことではなく、将来性のありそうな産業に対して参入者が後を絶たないのは世の常である。
問題はその産業が投資に値する利益を生み出せるかどうかである。今のところ残念ながら中国のアニメ産業はまだその答えを出せてはいないようである。そのせいか2年前まであれほど盛んだったアニメ製作投資が、昨年は大型投資案件がほぼ皆無といった状況となっている。
政府は30万分のアニの需要があると推定しているが、実際に生産されているのはその1/3に過ぎない。中国では浙江省の他、湖南省、広東省、江蘇省、上海市など全国に17の政府指定の動漫基地があり年間3,000分以上のアニメをつくらなければならないことになっているらしいが、それをクリアーしているのは現在9つだけである。また、現在5,400社あると言われているアニメ関連企業のうち、年間1,000分以上(ほぼテレビシリーズ一年分)生産能力があるのは20社未満であるという。
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