中国訪問記11〜空前のヒットとなった『紅猫藍兔七侠傳』
回収のビジネスモデル、つまりその見込みのないまま見切りスタートしたように見える中国のアニメ製作ブームはどうやら雰囲気、日本流に言えば時代の「空気」によって醸し出されていたようだが、その事業収支決算の時がやって来たようだ。
しかしながら、ここでお断りしておくが中国製アニメの全ての事業収支が悪いわけではない。CCTVで放映された『紅猫藍兔七侠傳』のように空前のヒットを飛ばした作品もある。暴力的で残酷という親の抗議によって一度は放映中止という前代未聞の状態となったが、子ども達の間での人気は衰えず再開したという曰く付きの作品で、皮肉なことにこの作品が商業的な大成功を収めたのである(検索したがインターネット上に映像が出ていない)。
また私も中国で見た『喜羊羊与灰太狼』というアニメも成功しているようである。可愛らしいキャラクターでこちらは日本でも見かける絵柄である。露出量から推定してある程度の成績は収めていると思われる。 http://shopping.jchere.com/detail-id-356955-q--qj-.htm
とはいえ、こうした成功例はごく一部のようで、大部分のアニメの採算が取れず今後が見えない状況であるという。それもあってか昨年はアニメ製作に対する投資がかなり減ったとのことであった。
このように行き先がいまいち不透明であると感じられる中、今回の訪問の大きな収穫として上げられるのは、新しい世代のアニメ製作者が確実に育っているということであった。といっても杭州のあるアニメ企業一社だけの話なのであるが、そこにはあらゆるクリエイティブに共通するスピリッツが確実に感じられたのである。
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