デジタルコンテンツ白書2008(デジタルコンテンツ協会/税込6,000円)
成長率の鈍いコンテンツ産業、その理由は?
毎年出ている本であるが今回は私も執筆しているので簡単な紹介に留めておきたいと思う(執筆したのは「コンテンツ人材育成」についてである)。
相変わらず読むのに難儀するほどの凄いボリュームである。コンテンツの最新動向や政策の解説、分野別ごとのトレンドなど数字だけがゴロンと載せてあるメディア白書よりは役立ちそうな気がするのは確かである。それもあってか、(聞いた話なので時期はよくわからないが)来年からそのメディア白書がなくなるらしいとのことで唯一の統計本となる可能性が高い。
日本のコンテンツの最大の問題はシンクの代表である森さんが「コンテンツビジネスの現状」の項で述べているように期待の割には成長率が上向かないことであろう。世界的にコンテンツの時代と言われ、2007年の世界のメディアエンタテイメント市場は10.2%の成長、2011年までは平均9.1%の伸び率という予測があるのにも関わらず日本は2007年でわずか前年度比0.3%という淋しい数字である。
世界的にコンテンツの時代に突入したと思われているのになぜ日本では伸び悩んでいるのであろうか?もちろん少子高齢化の影響はあるだろうがことの本質はそこにはないと思われる。問題は「パラダイス鎖国」に見られるように現状に安ずる気持ちが支配的になっていることではないだろうか。
国内では引きこもり、ニートといった存在が問題とされるが国際的に見ると実は日本が引きこもり状態なのではないか。ジャパン・アズNO1などと余裕を見せていたが気が付けば尻に火がついている。中途半端に豊かになった社会が次のステップに向かう活力を生み出せるか否かは如何に高いモチベーションを掲げることが出来るかにかかっているように思える。
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