2Dアニメと3Dアニメのはざまで〜『スカイ・クロラ』に対する若干の補足2
大きな転換期を迎えた日本のアニメ
『メタルソリッドギア4』に対して述べたコメントの冒頭で押井守監督は日本のアニメはいま大きな転換期を迎えていると述べている。いや、実際は「落日を迎えた」というショッキングな表現であり、その実情について次のように述べているのだ。
「巨大な慣性質量を抱えたままコーナーに突入し、いまさらブレーキを踏んでもコースアウトは目に見えているし、かといってアクセルを踏み続ければクラッシュは避けられない−いずれにせよ大きく減速して首位の座を明け渡すF1マシンのような状態にある、と言っても過言ではないでしょう」
これがいま日本のアニメに対する押井守監督の認識である。「技術開発のための投資と、人材発掘の努力を惜しんだ当然の結末」とはいえ、第一線の、それも押井監督の口から出る言葉としては如何にも重い。では、なぜ押井監督はそのような認識に至ったのであろう。氷川氏のインタビューではそれについて述べている。
「おそらくアニメーションの演出的なピークみたいなものは、まだ色々あり得るかもしれないけど、作画上のピークは僕が予感したとおり、『イノセンス』が最後だったんだろうな。つまりひとことで言えば、もうアニメーターがいないの(笑)。必要とされる頭数の半分も集まらなかったんですよ」ということであり、これは「業界トータルを見渡したときの、一種の作画力」が大きく後退しているという意味である(この場合の作画力というのはあくまでトップレベルにおけるという意味である)。
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