アニメと音楽のビジネス関係(9)〜主題歌とアニメの中味の分離
キティレコードにとって『うる星やつら』は本当に有り難い存在であった。困ったときのうる星頼みではないが実に貢献度は高かったと思う。多分うる星を一人のアーティストと考えるなら一番売上に貢献したのではないか。その中でも音楽商品の比率はかなり高いはずである。
『うる星やつら』はそれまでのアニメビジネスの常識をかなり変える役割を果たしたのではないかと思う。水曜夜の19時半というのは明らかに「お茶の間」の時間帯である。そこへアニメとはいえ主人公が水着姿(地球的に言えば。おかげでプロデューサーのOさんはPTAに呼び出されて絞られた)で登場するのである。それもあってかファン層の年齢は高く、売れる商品もCDなどの高額商品が多かった。
『ラムのラブソング』は当時で10万枚ほどのヒットとなった。主題歌のレコードを買う習慣がなかった時代であることを考えると異例の売上と言えるであろう。その後はこれを超えるヒットはなかったものの、出せば確実に売れるということで手を変え品を変え主題歌を出し続けるのであるが、さらにその主題歌集なども数多くリリースしたことで、ファンから「出し過ぎだ」とおしかりを頂くほどであった。そして、この頃から明確にアニメにおける音楽ビジネスが立ち上がって行くのであるが、それと軌を一にして起こった現象が主題歌とアニメの中味の分離である。
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