Vol.2〜「マンガの神様」だけではなかった
昭和40年、1965年位までに生まれた人間ならな誰しも手塚治虫=「マンガの神様」という感覚は容易に受け入れられるはずであろう。何せ手塚のマンガは1950年に『漫画少年』(学童社)で『ジャングル大帝』の連載が開始されて以来、1989年に亡くなるまで必ずどこかのメジャー雑誌に載っていた。その40年以上に及ぶ濃密な創作活動は日本のクリエーターの中でも群を抜いていたので、手塚は生きているうちから神様と呼ばれるようになった。
「マンガの神様」手塚治虫が残した業績は数多あるが、その中でも最大のものは日本を世界一のマンガ大国にしたことであろう。日本人にとって当たり前になっているが、実は世界的に見てもこれほどマンガが溢れている国はない。マンガは日本人のあらゆる局面に影響を与え、日本のコンテンツの源泉とも言うべき存在となっている。
しかし、実は手塚治虫の業績はそれだけではない。「マンガの神様」である手塚は、同時にアニメやロボットの「神様」であり、そして世界平和の「神様」なのである。手塚治虫はマンガを通じて発信したイメージは、日本のみならず世界中で我々の想像を遙かに超える現象をもたらしたのである。
このブログ連載は手塚治虫という大樹から生まれた果実を検証しようという試みの元に書かれてあるので、今まで数多く描かれた手塚作品論とはかなり趣が異なっているように思えるであろう。だが、最後まで読んでもらえれば(かなり長くなる予定である)、手塚治虫が日本人として世界に誇るべき業績を残していることを理解して頂けるであろう。
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