Vol.10〜第一部手塚治虫とマンガ〜第一章マンガ大国ニッポン
本日は手塚治虫生誕80周年の日である。1927年(昭和3年)生まれの手塚がもし存命であれば80歳を迎えていたことになる。奇しくもミッキーマウスが生まれたのも1927年、同じ歳である。
さて、本題に戻ることとしよう。
日本のマンガに抜かれていたアメコミ
現在のアメコミ市場の縮小と反比例するようにアメリカで拡大を続けるのが日本のマンガである。アメコミのような雑誌版型ではなく、単行本形式のグラフィックノベルスタイルで売られて値段が高いにも関わらず年々市場を伸ばしているのである。アメリカにおける日本のマンガビジネスは1980年代後半から本格的にスタートしたが、当初は読書スタイルの違い(アメコミは日本と逆の左開き)、マンガに多用されるオノマトプ(擬声、擬態語)の翻訳の難しさなどから浸透するまで時間がかかった。
しかし、先行していたアニメ人気に追随する形で原作マンガも売れるようになり、アメコミのバブル崩壊とクロスする形で90年代後半から急速に市場が拡大し、「アメコミ自体の売上も(*筆者注:アメコミ原作映画の影響もあって)90年代に比べると回復したものの、毎年35パーセント近い成長率を見せている(筆者注:日本の)マンガ単行本市場にすでに追い抜かれている」(『萌えるアメリカ』堀淵清治/日経BP)といった状況となっているようだ。
また、米国ポップカルチャー業界情報サイトのICv2は同社独自の調査結果として、2006年の北米のグラフィックノベル市場がコミック市場を上回ったと公表しており、アメリカとカナダのグラフィックノベルの小売段階の売上高は3億3000万ドルで、コミックの3億1000万ドルより大きいとしている。
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