Vol.55〜第一部手塚治虫とマンガ〜第二章手塚治虫成功の秘密
手塚治虫を育てた環境④家庭環境〜祖父手塚太郎その7
手塚家の経済的基盤をつくる
平成17年11月7日に改正された「裁判官の報酬等に関する法律」によると現在の最高裁長官は年収3,967万円、東京高等裁判所長官2,772万円、その他の高等裁判所長官2,568万円とある。長崎控訴院院長であった太郎の場合はこの「その他の高等裁判所長官」に相当するが、司法資格を持った高級公務員と考えれば太郎の収入感覚は現在の「その他の高等裁判所長官」の数字に近いのではないだろうか。
また、2005年に行った産労総合研究所が行った大企業から中小企業まで3,500社を対象に実施、その内189社(上場88社、未上場101社)の調査結果では、役員報酬の平均は会長が3,400万円、社長は3,200万円。専務2,500万円、常務2,000万円であったとされるから、太郎は現在のちょうど一般企業の専務程度の収入であり、やはり恵まれた経済環境の下にあったものと思われる。そして、引いてはこの経済力がその後の手塚家の文化的環境を形成してゆくことにもなるのである。
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