第二部手塚治虫とアニメ
2−3 アメリカでブレイク
映画王国アメリカでトップを取る意味
映画公開前にすでにゲーム、トレーディングカード、TV放映などでポケモンブームが訪れていることはわかっていたものの、配給を担当したワーナーのでもまさかBOX OFFICEのトップを取るとまでは思っていなかったであろう。
当時配給を担当したワーナー・ブラザーズの人間が、「このような低予算映画に本当に客が来るのだろうかと最後まで疑心暗鬼だった」と述べている雑誌記事を読んだ記憶があるが、実際彼らにすれば確かに冒険であったに違いない。
何故なら数十億、時には100億以上の製作費をかけるハリウッドの感覚からすれば、推定製作費2〜3億の『Pokemon:The First Movie』は超低予算映画であって常識的に考えて3,000館もの劇場ブッキングに値する作品ではない。日本でいえば予算数千万円の作品を全国拡大公開するようなものである。
ところが、このチープな日本映画(しかもアニメ!)が予想を裏切りBOX OFFICEの一位となったのである。日本人も驚いたが(私もかなり驚いた記憶がある)アメリカ人もさぞかし驚いたであろう。
アメリカにとって、映画は軍需、金融、ITと並ぶ主要産業であり、ハリウッドが世界の映画産業の中心であることは自他共に認めるところである。従って、そのアメリカでBOX OFFICE一位なるということは世界中の注目を一身に集めるということになる。実際それ以降日本のアニメに熱い視線が注がれるようになった。
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