09東京国際アニメフェア3〜アニメ業界の新潮流その2 シンクの戦略
これらアニメ業界におけるインディーズとも言える新潮流系の会社の中で注目すべきはシンクであろうか。この会社、コミック・ウェーブの代表であった竹内宏彰氏とマイクロソフトやマッキンゼーなどに在籍していた森祐治氏の絶妙なパートナーシップからなるが、ここに来てアニメ界として注目すべき目論見が顕在化してきたようだ。
足掛け3年に渡って手がけて来た動画革命東京プロジェクトのクリエーターに対するプロデュース力ももちろんであるが、シンクの真骨頂はそれら作品をビジネス展開する際の戦略が優れている点であろう。
動画革命東京は東京都の支援事業である。言葉は悪いが、この種の公的支援事業は往々にして結果が出ないケースが多い。その意味で、今回アニメフェアで発表されたシンクの成果を見る限り、実際にビジネスにまで結びついた例が多く真摯な取組姿勢であることが伺えた。
『テイルランダー』『虫歯鉄道』『まっくららんどのホネイヌくん』など、商業作品として成立する可能性がある作品が増えてきたが、何といっても期待値が高いのは『センコロール』であろう。ずいぶん前に短い尺のものを見て凄い完成度の作品だと思ったが、何と全て一人で手がけていると聞いて驚いた。しかも札幌在住である。
『センコロール』のプロモリールを見て以来、その後どうなったのか気にはなっていたが、ようやく30分の尺を完成させたとのことだった。アニメフェアで見た最新プロモもやはり抜群の完成度であった。既にアニプレックスからの発売も決まっているという。いま一番元気なメーカーから出るというのもビジネス的な期待感を増幅させる。
シンクの戦略はなかなか奥が深いようである。おそらく『センコロール』がきっかけになって注目度が高まるであろうが、その戦略には日本のアニメビジネスが取るべき方向が示唆されているように思える。
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