〈手塚治虫とアニメ〉アニメの繁栄を築いた手塚治虫
アニメにおける手塚治虫の功績3〜手塚治虫の存在を銘記せよ
次に経済性であるが、確かに日本のアニメの製作費は安い。現在世界的な視野でアニメ産業を見ると他はアメリカ(ハリウッド)しかないが、その製作費は日本に比べかなり高い。
劇場アニメなら、日本で最高の予算を誇るスタジオジブリ作品の2〜3倍(60〜90億円)、TVアニメでも1.5倍から高いものだと4倍程度の差はある。そうなれば当然海外での価格にも反映する。劇場アニメにおいては圧倒的に強いハリウッドもTVアニメでは日本に敵わない状況が続いている。それはこの経済性に因るところが大きいのである。
最後が生産性である。日本は現在世界で一番のTVアニメ量産国であり他の追随を許さない状況にある。これは『鉄腕アトム』以来の猛烈に働く現場によって成し遂げられたものであるが、その遺伝子は現在でも脈々と受け継がれている。
ここ数年の驚異的な制作ラッシュが続き明らかにキャパオーバーの状態が続いていたが、飛躍的に発展したデジタル技術と海外へのアウトソーシングによってこなし続けている。日本流のリミテッド・アニメを築き上げたマインドが生き続けている限り、日本のアニメの生産性は今後も健在であろう。
日本がアニメ大国になった理由を述べてきたが、その原点に手塚治虫が居たということを改めて我々は銘記すべきであろう。
コメント