〈手塚治虫とアニメ〉アニメの繁栄を築いた手塚治虫
手塚治虫以降のアニメ6〜称賛に値する手塚治虫のフロンティア精神
手塚治虫のフロンティア精神はもっと称賛されて然るべきである。後追いはたやすいが、最初に挑戦する者のリスクはとてつもなく大きい。
同時期にTVアニメの製作を考える人間も当然いたであろう。しかし、TVアニメ製作にどれほどのリスクが潜んでいるのか皆目見当もつかず、従って採算の目処がまるで立たない。そういった状況では参入できないのは当然である。
手塚がアトムの製作を決断できたのはマンガ家として日本一の人気を誇り長者番付漫画部門の常連という資力を持っていたからであろう。「身銭」を切ってまでやろうとする覚悟があったのは手塚治虫だけだったのだ。やはり手塚がいなければ日本のTVアニメはスタート出来なかった。
それでもTV番組に穴を開けるようなことがあっては社会的、経済的影響は個人の責任範囲を超える。それでも敢えて前に進もうとしたのは『桃太郎海の神兵』を見て「一生に一本でもいい。どんなに苦労したって、おれの漫画映画をつくって、この感激を子供たちに伝えてやる」という不退転の決意と同時に、『白蛇伝』を見た時の「おれは絶対に作るよ。まあ、見ててくれ。あんなに金をかけなくったって、もっといいものを作れると思う」という勝算があったからであろう。
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