『給料を上げたければ、部下を偉くしろ』(上野和典/ポプラ社1,200円税別)
バンダイを躍進させた社風とは?
企業にとって企業文化は非常に大切である。そして、その基ともなるのが社風である。この本を読むと自由闊達なバンダイの社風がよくわかる。
仕事柄バンダイグループとの接点は多い。マッドハウスにいたときは主にバンダイビジュアルであったが、現在は何といってもバンチャことバンダイチャンネルである。そして、そのバンダイチャンネルが2年に一度行われる社内論文大会の第一回目で大賞を取って生まれたプロジェクトがもとになって設立されたことをこの本で知った。
バンチャの社長の松本さんはガンプラの生みの親である。その後サンライズに移籍し、そしてバンチャを設立する。その姿を見てもわかるようにバンダイという会社は風通しのいい会社であり、上野和典氏が自ら言うように自由闊達な風土であるようだ。
上野氏は上司とも部下とも飲みに行かなかった。盆暮れの付け届けはしない。年賀状は出さない。それに会社はほとんど定時で退社し極力家で夕食を取る。バンダイのような企業でそれが可能かと思ってしまうが、上野氏は気負うところもなくそう言ってのける。
上野氏はなるべくしてバンダイの社長になったようである。既に32歳の時に社長になりたいと意識しそれを周囲に公言していたという。そして、51歳という若さで代表取締役に就任。画に描いたような出世話であるがバンダイではそれが可能であるようだ。
タイトルとなった言葉はバンダイの「大番頭」であった杉浦幸昌氏からの言葉である。給料を上げて欲しいと言ったらそう言われたそうで、実際そうしたらその通りになった。思うに至言である。部下が働いてくれないことには会社は立ちゆかない。
この本を読んでいるとバンダイは今なお夢多き会社であることがわかる。
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