マンガ関連本2〜『まんがと生きて』(わたなべまさこ/双葉社1,600円税別)
今なお現役、80歳のマンガ家
わたなべまさこさんはもっとお若いと思っていたら手塚治虫と一歳違いの昭和4年生まれであった。今年80歳になられるが未だに現役のマンガ家である。
わたなべさんは何と上野の美術学校(東京芸大)の中で育ったそうである。祖父が務めていたためであるが構内の官舎で上野動物園に隣接、よく壁を越えてシマウマの囲いの中を抜けて園内を散歩したそうである。
手塚治虫と一歳しか違わないわたなべさんがマンガを描くきっかけになったのは弟が定期購読していた「少年」に連載されていた『鉄腕アトム』であったとのこと。それは昭和27年、わたなべさんが初めての子どもを妊娠中の出来事で御年24歳。ということは、手塚治虫は25歳ということになるが、既にマンガ家としての絶頂期を迎えていたのだ。
触発を受けたわたなべさんは妊娠中に最初の作品である『小公子』の制作を開始、そして、それを最初の出版社に持ち込むとその場で採用が決まる。まるで画に描いたような、あるいはマンガの様な話であるが事実は小説よりも奇なりである(しかし、その後その出版社は父さん、子連れであらゆる出版社を回ったそうである)。
わたなべさんがマンガ家としてデビューを果たしたとき、女流の先人は上田としこくらいしかいなかったそうである。わちさんぺい、山根赤鬼、青鬼など懐かしい名前も出てくる。マンガが全盛を迎える時代を感じ取ることができる作品である。
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