マンガ関連本7〜『手塚先生、締め切り過ぎてます!』(福元一義/集英社新書700円税別)
全編ウラ話の手塚本
生誕80周年ということもあって手塚治虫関連のイベント、番組、そして書籍が目白押しである。本書もその流れにあると思うが、チーフ・アシスタントをやっていただけあって全編これウラ話といった趣である。
福元氏は日芸から横滑りして少年画報の編集者となり、そこからマンガ家を目指し、1970年に手塚治虫のアシスタントと相成った。爾来、手塚治虫が亡くなる1989年まで不出世の天才を間近で見守っていたのである。
以前から考えていたことであるが、日本のマンガやアニメの猛烈なペースは手塚治虫が起源なのではないか。本書に認められたエピソードを見るに付けその思いを強くする。尋常ではないスピードでマンガ(やアニメ制作)をつくり続けたこのペースこそがよくも悪くも日本のマンガやアニメの生産性を規定しように思う。
『アニメビジネスがわかる』で日本のアニメ産業発展の理由として、面白い(エンタティンメント性)、安い(経済性)、沢山つくれる(生産性)の三つを上げたが(もちろん、これらはマンガにも当てはまる)、これらは全て手塚治虫由来のものである。
さらに手塚治虫の場合ボット産業を興隆させたという功績もある。そして、それが引いてはベルリンの壁を崩すことになったという説もあり、そのことを考えるとその業績は自分たちが考えている以上のものであるのではないか。
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