『マンガ進化論』(中野晴行/P-Vine BOOKS1,600円)
待望のマンガビジネス論
『マンガ産業論』を著した中野さんの待望の次回作である。内容は京都精華大学マンガ学部の夏期集中講座で行った「マンガ産業論」でのレジメを土台としたものであるが、いつもながら示唆に富んだ内容となっている。
まず、興味を引かれたのは日本ではいつ頃から大人がマンガを読むようになったかということ。思えば本書にあるようにマンガは小学校で卒業するものであった。アニメもしかり。私の場合、アニメは卒業してしまったがマンガはできなかった。劇画が一般的であったのに対しその頃のアニメには小学生以上が興味を持つ作品がすくなかったのではないかと思う。
中野さんもお会いした感じではアニメ好きという雰囲気ではなかった(なんでわかるんだという声も聞こえますが同い年ということもあってそんな感じがしたのです)。多分、アニメよりはマンガに夢中だったのではないか。
マンガが中学生以上のものになったのはサンデー、マガジンなど少年週刊誌創刊がきっかけであったと氏は述べる。年代でいうとちょうど団塊の世代あたりからずっとマンガを読みはじめるようになったという計算である。ここを起点としてマンガやアニメが世代を超えて広がるようになってという意味で週間マンガ雑誌は日本のポップカルチャーの分水嶺であったと言えるのではないか。
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