中国アニメビジネスの問題点〜ストーリーを中心としたプリプロの問題
中国アニメビジネスの問題点を述べてきたが、一言で言うとここ数年政府の後押しにも関わらずビジネス的な成果がもたらされていないということにある。中国の新聞でも報道されたほどなので中国でもその認識は当地でも通用するものと思われる。それでは、制作本数だけは伸びているがなかなかビジネス的成果が伴わないという中国アニメの問題点はどこにあるのだろうか。
まず現象面で言えることはヒット作が少ないということである。これだけつくっていれば普通何本かヒット作が出てもおかしくない。収益源が少なくいといっても、『喜羊羊』クラスの爆発的なヒットを飛ばせば回収は十分可能だ。その点、データがないので断言は出来ないが『喜羊羊』以外、ほとんどヒット作が見られない。
日本のアニメの歴史を見てもわかるように、産業発展を大きく促したいわゆるアニメブームの起爆剤としのメガヒット作品が常に存在した。日本初のアニメブームを巻き起こしたのは『鉄腕アトム』の爆発的なヒットであった。これによって後続事業者が続々登場、第一次アニメブームとなった。
その次が『宇宙戦艦ヤマト』である。社会的現象まで引き起こしたこの作品は青年層以上がアニメを見るきっかけをつくり世界に冠たるオタクの出現を促したのである。そして、第三次アニメブームは『エヴァンゲリオン』『ポケモン』『千と千尋の神隠し』などのメガヒットが集中することで生まれた。そういう意味でいうとアニメ産業の発展は、まず作品、いやヒットありきと言えるであろう。
ところが残念ながら中国には時代を画すようなヒット作品がまだ現れていない。要するにメチャクチャに面白い我を忘れて見入ってしまう作品がまだないのである。実際、中国の子どもや若者の間でも中国製アニメは面白くないという風評がある。これは至る所で耳にする話であるし、私が見ても代わり映えしない作品が多いように見受けられる(もちろん言葉が理解できないという問題も大きのであるが)。
中国のアニメが面白いと感じられない理由はおそらく二つに分かれるのではないかと思う。ひとつはストーリーを中心とするプリプロ部分に潜む問題、もうひとつは多様性の限定という問題である。
コメント