協業の可能性
今回、経産省の課長をはじめとして、動画協会理事長、トップ企業の代表などアニメ業界としては初めてと言ってもよいレベルの公式訪問であったこともあり、体面の国中国としては情報交換レベル以上の対応をしてくれたように思える。
そのひとつとしてあったのが、文化部からある種の制作協定の打診である。事の正否や実現性はともかくとしてそのレベルの話が出たこと自体今回の訪中の大きな成果ではないか。まず、具体的にこの制作協定の内容を考えるにあたり、中国と韓国との間に結ばれたゲーム制作協定を見てみたい。
中国はゲーム制作において文化部主導で「中国・韓国ゲーム産業合作協定」を6月11日に正式に締結、同時に中韓ゲーム産業連盟を発足した。既に昨年12月中国文化部と韓国文化体育観光部は「ゲーム産業及び文化合作についての協定」を結んでおり(ネット)ゲームについて海外と行った初の協調体制として注目されたが、「中国・韓国ゲーム産業合作協定」それを更に進めた形になっていると推測される。この協定は具体的には江蘇省にある中国文化部指定「国家デジタル娯楽産業模範基地」である常州創意基地で中韓両国のネットゲームの合作事業を行うことであるが協定の主旨は以下の通りである。
(1)四半期一単位で、両国は互いに各政策状況及び関連産業情報を提供する
(2)共同して中韓ネットゲームに関する対策協議会を開催し、各ネット事業での合作を推進する
(3)常州市政府と韓国文化産業振興院とで調印したゲーム産業の人材育成事業を発展させる
(4)第七届中国国際ネット文化博覧会(北京)に関連付け、中韓ゲーム文化節を開催する
(5)両国はゲーム産業トップ人材の育成業務について検討し、両国の知名大学に合作によるゲーム産業分野のMBAコースを設置する
(内田総研週間メール情報293号より)
以上が協定の外枠であるが、昨年12月の「ゲーム産業及び文化合作についての協定」以来急速に両国の協業が促進されたと文化部は述べているが、今回の協定で更なる発展が期待されているようである。また、これ以外にも中韓共同でシリアスゲームの開発と海外市場への推進について検討しているとのことである。従って、中国文化部も同様の内容で日本との協業を考えているものと思われる。
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