『青春少年マガジン』小林まこと著
(08年12月/講談社/税別933円)
壮絶なマンガ家人生
これは若き日の小林まこと氏とその友人であったマンガ家の青春時代を描いたコミックである。その友人とは大和田夏希と小野新二である。「新人三馬鹿トリオ」と呼ばれた三人は互いに切磋琢磨する関係であったが1994年大和田は自殺、小野はその一年後に肝臓機能障害で逝去する。
「ボロボロ泣きながら描きました」とあるがその通りであろう。マンガ家の世界の厳しさをかくも描いたものは今までなかった。マンガ家の苦しみの大半は画を描く作業よりもネームづくりにあるのではないかと思う。何が受けるのかは誰も教えてくれない。毎回勝負しなければならないそのプレッシャーに耐えられなければ身も心もボロボロになって行く。
実は小林まこと氏が七転八倒していたその時期に、氏の『ホワッツ・マイケル』の商品化権の窓口を担当していた事がある。今なら考えられない事であるが、昔いた会社がマイケルのOVAを製作したら何と商品化権の窓口がついて来たのである。
マイケルの商品はよく売れた。特にサンアローがつくったぬいぐるみは大人気で、大人向けマンガ雑誌に連載されたものとしては破格の売れ具合であったと思う。で、そのスタッフであった私が何をしていたかというと実にお気楽であった。引退された講談社の武井部長と今も講談社に在籍しておられる塚越さんと毎月交互に会社持ちで飲み会などをやっていた。
今では考えられないようなのどかなビジネスであったがマンガ家は命を削って作品を描いていたのである。講談社のビジネススタイルは激変しつつあるが、マンガ家のハードさは昔と同じである。
(蛇足ながら・・・)
塚越さんの、「リーボックは韓国でつくられているんだって。李さんと朴さんが」というダジャレが今でも忘れられません・・・
コメント