『マックス・フライシャー アニメーションの天才的変革者』
(リチャード・フライシャー・田中美奈子訳)
(09年11月/作品社/税別2,200)
原本は05年にアメリカで出版された『Out of the Inkwell』で、アマゾンで取り寄せて読もうと思っていたら翻訳本が出版された。それでも原文で読もうと思っていたのだが、遂にギブアップ。英語を読む速度が本当に遅いので、昨日「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」で見た呉真由美さんの本を読めば少しは早くなるか?
マックス・フライシャーがアニメーションの発展に於いて果たした役割については今更語るまでもない人物であるが、彼について書かれた本はほとんどない。この辺りもライバルだったウォルト・ディズニーとは対照的である。まあ、この時期にこの本が出たのも『バッタ君町に行く』が公開されたからであるが、アニメビジネス的には重要な文献であるので一度は目を通して欲しい。
マックス・フライシャーがアニメビジネスにおいて、どのように成功し、どのように失敗したか。また、どのような価値を創造したのかについては非常に興味のあるところである。本書は息子の著作ではあるが、その変の経緯がよくわかる。結局、「相撲に勝って勝負に負けた」ではないが、「クリエイティブに買ってビジネスに負けた」といったところであろうか(パラマウントのやり方にハリウッドメジャーのビジネスが伺える。また著作人格権に対する考え方もよくわかる)。
以下、翻訳について。
14p「アニメーション」はやっぱり「cartoons」であった。漫画映画である。
16p「大木さん」は「the Tree」であった。
34pスクリーンに映している「漫画」は、ここでは「漫画映画」と訳すべきではなかったか。
35p定期的に配給可能な作品作りの話で、「もっと実用的なものを作りたまえ」とあるが、この「実用」は、「実現可能なもの」と意訳すべきだと思う。
86p「マックス・フライシャーと機械な仲間たち」の「機械な仲間たち」はそぼまんまMechanical
Friendsであった。
以上であるが、作者のリチャード・フライシャーも私などには馴染み深い人間である。何せ、かの『海底2万哩』の監督なのだ。『ミクロの決死圏』もだ。『ドリトル先生』なんかもある。さらに、あの『トラ・トラ・トラ!』も監督している。結構面白かった『ソイレント・グリーン』もR・フライシャーだ。小さい頃にテレビでポパイを見て(リアルタイムで見てた)、長じて息子の作品を眼にしていたという訳だ。
言い忘れましたが、『アニメビジネスがわかる』に再版がかかり、4刷となりました。ほぼ
1年に1回の割合です。もうないと思いますが、購入して頂いた方、本当に有り難う御座いました。次作、書いている最中なのでしばしお待ち下さい。
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