企業ヒヤリング8〜Vol.6 ぴえろ
【選定理由】
日本のアニメを語る上では欠かせない存在。大手としては珍しい作画系出身の経営者を持つ制作会社がどのような人材育成を行っているか興味を持った。
【企業概要】
1) 企業名:株式会社ぴえろ
2) 設立:1979年5月
3) 代表者:布川郁司
4) 資本金:353,327,000円
5) 設立の経緯:
6) 竜の子プロダクションでアニメーター、演出家を勤めた代表が1977年に独立、助走期間を経て1979年に「日本のディズニープロダクション」を目指す会社として法人化。
7) 企業属性:元請企業。未上場、独立系企業としては最大手。
1) 従業員:正社員は70名程度、準社員含め150名弱。契約社員、フリーや作品契約も含めれば更に多くなる。
【人材育成】
1) 採用傾向:結果として作画系は専門学校生が中心。美大出身は少数。制作に関しては普通の四大卒が多い。人気企業であるためか、高学歴の志望者も多いとのこと。
2) 募集方法:
HPなどで募集をかけるが応募は全体1,000名程程度。その中でアニメーターは300~400名。残りは制作・営業関係・デジタル部門。応募者の80%が女性。
3) 昨年採用実績:作画系は年2〜3名
4) 人材の傾向:—
5) 採用試験:
・ 試験はない。採用する際は、学生の時に描いたポートフォリオを提出してもらいそれが採用基準になる。
・ デッサン力を重視
・ また、学生時代に1年生・2年生・3年生といった段階毎に描いた作品を見れば成長が確認で出来る。
・ 今までこれだけ描いてきた、毎日これだけ描いている、という熱意があれば評価する。初任給:大卒と専門学校は違うが大体20万円くらい。
6) 初任給:
最初は固定。せいぜい月200枚程度であるが、半年もするとコンスタントに描けるようになるので、固定給よりも多くなってしまう。そういった場合は出来高、あるいは契約社員とする(描けない時は描けないので…)
7) 研修ポリシー:完全OJT
8) 研修内容:最初からOJT。現場に一任しているが、リテイクを通じて仕事を覚えさせる。
9) キャリアアップ:
・ 作画監督クラスの人間が判断し動画から原画、及び原画以上に昇格させている。昇格の試験などで決めるのではなく現場でどれだけ出来るか、というのが基準。
・ 動画を飛び越えて原画にさせたケースもある。ただし、仕事内容を見て、プロとして描き続けられるか疑問に思う人に対しては、この道を諦めた方がいい、と勧告する場合がある。
10) 資格制度:さほど意味を感じない。
【所見】
300~400名もアニメーター応募者いると聞いて驚いた。その中から採用されるのは2〜3名。競争率100倍である。人気企業故の話であろうが、これほどの競争率をくぐり抜けて来る才能が評価の高い作画を支えているのではないだろうか。
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