アニメ関連メディア情報〜日本のアニメ制作企業調査41
企業ヒヤリング12〜Vol.10 株式会社プロダクション・アイジー
【選定理由】
日本を代表するアニメスタジオのひとつであるのが株式会社プロダクション・アイジー。その名前は日本のみならず世界的にも著名である。クオリティの高さには定評があるが、それを支える人材の育成面でも様々な施策を打ち出しているようである。今回のアニメ企業アンケートでも人材育成がうまく行っている会社であるという評価を得ていた。
【企業概要】
1) 企業名:株式会社プロダクション・アイジー
2) 所在地:三鷹市
3) 設立:2007年11月1日
4) 代表者:石川光久
5) 資本金:10,000,000円
6) 設立の経緯:
竜の子プロダクションで制作プロデューサーであった石川光久がアニメーターの後藤隆幸と共に有限会社アイジー・タツノコ(石川、後藤の頭文字)を設立。当初は「下請け」でアニメの制作を請け負うだけの会社であったが、その後、作品への出資・海外展開などにも積極的に取り組み、最近では 『イノセンス』(監督:押井守 2004年)の様に製作委員会の主幹事も務める様になった。2005年12月にジャスダック証券市場に上場を果たしている。企業属性:美術スタジオ
7) 従業員:224名
8) 制作ポリシー:
・現場重視でアニメーターなどに厚い会社として有名。代表の「アニメーターは役者と同じ。働きによって収入に差があるのは当然だから、I.Gで仕事をしてもらっているアニメーターには年収が1000万円を超える人もたくさんいる。速く、うまく描ける人には正当な評価をして、きちんと給料を払いたいんだよ」(nikkeiBPnet2005年10月27日)という発言からもその様子が伺える。
・最近は劇場作品が増えてきている状況である。各制作ラインが独立したスタジオ制になっており、各部署のプロデューサーが仕切っている。代表の意向で、各プロデューサーが競争し、各スタジオのカラーを出すことを目的としている。
9) 労働環境:
・ 平成19年度に今までの株式会社プロダクション・アイジーを社名変更して株式会社IGポートにし、そこを持株会社として新たに子会社として株式会社プロダクション・アイジーを設立。
・ アニメ業界は深夜を過ぎてまでの業務という印象が強いが、作画の一部のセクションでは、0時までに帰ろうと言う動きが出ている。
・ 管理職クラスの社員アニメーターでは、年収1千万円級はいる。
【人材育成】
1) 採用傾向:定期採用は既卒・新卒関係なく募集
2) 募集方法:HP
3) 昨年採用実績:
制作進行とアニメーター。09年度の応募数は制作進行217人、アニメーター218名。制作進行採用5名、アニメーターは国分寺7名・新潟3名(新潟スタジオ)。
4) 人材の傾向:
応募は男性が少なく3:7、もしくは4:6程で女性が多い。現在在籍しているスタッフは3:1で男性が多い。
5) 採用試験:
募集の際は、1次選考履歴書と作品。合格すると2次選考で面接と実技を行なう。
6) 初任給:
業務委託契約で契約金+出来高。最初の年の月は数万円程度。2年目以降は1年毎に見直しが入り、本人の評価とあわせて契約金を決定。
7) 研修ポリシー:
1ヶ月間のOJT研修後、本格的に現場に入る。
8) 研修内容:1日目から現場での研修の為、新人だけ集めて研修という様な事していない。
9) ャリアアップ:
動画から原画への作画業務移行を希望するスタッフには、細かいルールに則って試験を行う。
10) 資格制度:−
【所見】
代表が明言していた様にやはり現場に厚い会社であった。4月から武蔵野市に移転し、点在していたスタジオがほぼ一カ所(隣接した二つのビル)にまとまるので、より効率的になる事が予測される。(4月下旬に一部部署が武蔵野市へ、9月には全ての部署が移転予定)。
コメント