『遺言』
岡田斗司夫/10年10月/筑摩書房2,700円(税別)
面白かった。是非読んで下さい。まあ、勧めるまでもなく岡田さんの本は面白いのであるのだが。二段組みで381p、読み応え十分だが、あっという間に読める。
アニメ評論って難しい。アニメ関連会社と付き合いが多いので舌鋒が鈍りがちになる。辛口批評が言いにくい(藤津さんの『ゲド戦記』は厳しかったですが)。その点、岡田さんはそういうレベルを超越している。それにしても色々な側面でのリテラシーが高い人である。目から鱗の卓見が随所に見られます。ということで是非読まれることをお勧めする。
『未来改造のススメ 脱「お金」時代の幸福論』
岡田斗司夫・小飼弾共著/10年7月/アスペクト1,470円
『遺言』を読まれるならこちらも併読をお勧めする。小飼氏との対談であるが、岡田氏が今後どのような道を目指すのかが伺い知れる。実際、この後オタキングexという組織を立ち上げた。
岡田さんのお母さんは新興宗教の「神様」だったそうな。ご本人は気がついていないのかも知れないが、オタキングexというのは一見立川流家元制度の様に見えるが岡田思想による共同体指向、価値創造指向は宗教に相通ずるものがある。まあ、オタクの伝道者と考えれば納得するが。
『のーてんき通信―エヴァンゲリオンを創った男たち』
武田康広/02年3月/絶版なのでどこぞのmarket placeで
ガイナックスの武田さんの本。岡田さんの発言の裏が取れるので興味があればどうぞ。昔、武田さんからこの本の原稿が間違って送られてきたことがあった。目を通さずに廃棄したと伝えたが、実は少し読んでいた(ご免なさい)。そりゃガイナの内輪話を読まずにおられよか、である。
その頃、マッドハウスがガイナと仕事をやっており、時々山賀さんと武田さんが南阿佐谷にあったビルに訪ねて来ていた。最初に二人で来たとき、武田さんが一向に姿を現さない。待ちくたびれた頃に現れた氏に何をしてたのかと問うと、「裏の駐車場が狭くてなかなか車を入れられなかった」との話。
はて、普通の車なら楽勝なのにと思って、どのようなお車ですかと尋ねたところ、「ジャガー」とお答えになった。すると、すかさず山賀さんが「じゃあ俺の車は絶対ダメだ」とおっしゃるので、思わず車名を問うと、「ホンダNSX」とのこと。「ガイナの連中は儲かっている」と心底思った。
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