『もっとわかるアニメビジネス』執筆までの経緯
ということで、前作が発刊されたのが2007年の7月。それから4年後に出た続刊であるが、書きはじめたのは2009年の6月からなので、実際空いていたのは2年間で、あとの2年間は執筆1年半、校正半年といった感じであった。出版社は前作と同じNTT出版、編集者も同じ植草氏である。
とここまでは自分の話であるが、その間、アニメ業界/産業も大きく変化した。前作の執筆時期はまさにアニメバブル真っ最中。右肩上がりのとまらぬ2006年である。何となく調子に乗り過ぎているとは思いつつも、その頃は更なる成長を信じていた。なので、アニメビジネスがわかるにあるデータもすぐに古くなると本気で信じていた。
ところが本文にも書いたように、翌年から数字が下りはじめる。一足先に出版、ゲーム、音楽が体験してきた減少が遂にアニメ産業にも訪れたのか。そういう思いで数字の推移を見つめていると、現在を含め案の定そういうトレンドになりつつある。ということで、すぐに古くなると思っていたデータが数字が戻りつつあることによって、まだ有効であると思ったのである。
もちろん、データを取った2005年とでは流行のトレンドを含め異なっている部分があるのは当然である。従って、『もっとわかるアニメビジネス』では経年による傾向の変化を意識して書いてみた。
最初からデータを取り直すといった考え方もあっただろうが、その辺の総合的な数字は、座長を務める動画協会データベースワーキングで制作している『アニメ産業レポート』の方へと収斂させて行くのが妥当であると思われる。実際、『アニメ産業レポート2011』では、『アニメビジネスがわかる』で用いた手法も一部取り入れデータの取り方や数字の定義を変更した。正直、アニメ産業のデータを総合的に取る試みは、前著でやって見たが、結構死にそうになる作業であった。一人でやるのは限界であるというのが本音でもある。
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