アニメスタジオの存続・継承〜日本1
日本はまだアニメスタジオの歴史が浅く、また本格的な不況もなかったため存続している会社が多い。しかしながら、よく見ると資本が入れ替わっているケースが結構ある。ということで、日本のアニメスタジオの存続・継承について目安となる資本構成を見て行きたい。
東映アニメーションはずっと東映の子会社である。現在の出資比率は筆頭の東映が33.57%(2011年3月31日現在)、東映ビデオの3.18%、東映ラボテックの2.5%を合わせると39.25%、二位のテレビ朝日15.07%も東映が第二位の出資者(16.09%)なので安定株主が多く、ドラスティックな経営環境の変化はないように見える。
サンライズは1994年にバンダイの傘下入りを果たした。現在はバンナムの資本比率が99.5%であるので、こちらも安定していると言えよう。トムスの場合はやや複雑。1995年にキョクイチというセガ傘下の名古屋の繊維メーカーに吸収合併され、2005年にセガ・サミーの子会社、2010年に上場廃止となり、株式交換によってセガ・サミー完全子会社となった。この間、名前が何度か変わったので状況が見えにくかったが、完全子会社化で経営的には安定するのではないだろうか(親会社次第だが)。
徳間の子会社として1985年にスタートしたジブリは、1997年に親会社の経営悪化のため吸収され事業部となったが2005年徳間を離れ独立した。ここは非上場であるため、業績が良好で、創業者たちが元気な限り安泰であろう。『もっとわかるアニメビジネス』にも書いたが、後継者をどうするかが大命題。
懸念されるのは上梓した後で公開された『コクリコ坂から』が苦戦していること。今の数字だと、前提としてきた興行収入で制作費を回収するというビジネスモデルが崩れる可能性がある。もし、今後もこの状況が続くようだとスタジオ経営の先行きに暗雲が漂うことも考えられる。
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