『もっとわかるアニメビジネス』解説〜第一章アニメーションとビジネス12
60年体制が続く日本のアニメーション業界1
日本のアニメ企業についてずっと見てきたが、そこで感じたことは日本のアニメ業界は60年代(60年代に基軸となった5社中心の)体制が続いているのではということである。これは、要するにその時代に生まれた企業、並びにそのDNAを受け継ぐが未だにアニメ業界の中心を締めているという意味である。
60年代体制の5社とは、即ち、東映動画、虫プロ、TCJ、東京ムービー(トムス)、タツノコの5社である。
1951年に設立された東映アニメーション(東映動画)だけは別格だが、日本のアニメ企業のほとんどがテレビアニメ誕生と共に活動をはじめている。つまり1960年代。ただし、TCJと虫プロはその前に設立されている。タツノコもテレビアニメ以前にマンガ制作のために設立されている。トムスはアニメを制作するためにつくられた。
サンライズやマッドハウス、ぴえろ、プロダクションIGといった60年代以降誕生した会社も数多くあるが、設立メンバーが所属していた60年代企業の血(DNA)を押し並べて色濃く受け継いでいる。
以下、何故5社なのかその立証。
もちろん、その5社以外にもアニメをつくるスタジオはあった。ビープロダクション、テレビ動画、日本放送映画、チルドレンズ・コーナー、スタジオゼロ、第一動画、放送動画、大広プロ、日放映、フジテレビエンタプライズ、東京テレビ動画、ナック、川崎プロなどが60年代に名前が見えるスタジオであるが、いずれも撤退するなどして、結局5社に収斂されていく。
そして、70年代に入っても相変わらずこの5社体制が続くが、次第に状況の変化が現れる。そのきっかけのひとつとなったのが1973年の虫プロ倒産。これによって離脱したスタッフが新会社を結成、またそれ以外の会社から独立した人間によっても次々と新しいスタジオが生まれはじめたのである。
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