第四章&五章「激動の10年 テレビアニメ篇 劇場アニメ篇」4
劇場アニメの可能性1
パッケージ収益モデルの機能不全
突然だが、スタジオディーンのHPを見たら、創業者の長谷川氏が代表を退任していたので驚いた。動画協会のHPでは10月3日(月)発表。(株)イマ・グループの傘下に入ったとのことで、長谷川氏はそこの顧問に就任したとのことだ。これで、また大手アニメスタジオが系列化した。
イマ・グループはカプセル玩具の営業からはじまった会社で、どうやらエンタテイメントグループを形成して行くつもりのようである。その意味でディーンの参入は意味があると思われるが、果たしてどうなのであろうか。
さて、劇場アニメの可能性である。『もっとわかるアニメビジネス』で検証した結果、劇場アニメ作品数が増えていることがわかった。では業界全体が下降傾向である中、なぜ劇場作品が増えているのか。
それは、やはりパッケージによる収益モデルが機能不全に陥りつつあるからであろう。要はDVD、ブルーレイが売れなくなったということである。これは、アニメに限らず実写映画なども同様であり、また世界的な傾向である。
音楽界も同様であるが、アメリカなどはレコード会社がすっかりパッケージを諦めているようにさえ見える。既に音楽パッケージの売上では日本がアメリカを抜き世界一となった(円高のせいもあるが)。
これはアメリカ人の特徴でもあると思うが、フロンティア精神に満ちて取組が早いが、諦めも早い。大統領選もそうだが負けた候補が自分から敗戦宣言を出すという、ある種の潔さがある。
その昔、大リーグに行った新庄が大量リードしているのに、0-3のカウントからヒットを打ち、次回の打席で相手ピッチャーからデッドボールを食らったことがあるが、アメリカのレコード会などパッケージに関してはすっかり白旗を掲げているように思えるのだが。そして、おそらく、その分新しい展開について策を練っているはずである。
その点、日本の業界は粘る。最後まで粘ろうとするのである
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