第四章&五章「激動の10年 テレビアニメ篇 劇場アニメ篇」5
劇場アニメの可能性2
メーカー主導・業界主導の気風
そう、日本の業界は粘るのである。レコード業界も然り。ここはパッケージを守るために配信に対して極めて消極的であった。また、ようやく重たい腰を上げて配信をはじめようとしたときには、自分たちでカルテルを組んで利益を独占しようとした。
何故日本は粘るかというと、メーカー主導・業界主導(売り手市場)という気風が強いからであろう。自分たちがサービスから、流通、価格まで決めるという意識である。そして、その際、自分たちの都合でサービスを決める傾向が強い。
出版における再販制度もそうであるが、価格などを含め自らがイニシャティブを取りたがる(メーカー主導主義)。市場やユーザーのニーズが欠落しがちであるのは否めない。内向け(国内)市場がメインの業界は押し並べてそのような流れにあるのではないか。ベクトルが後ろ向きで、なかなか新しいサービスの創出に向かわないのである。
主導権を取りたがると言えば、Appleなどまさにそうである。価格、流通に関しかなりうるさいようである。しかしながら、Appleの場合、ユーザー代表の様なジョブスがいたため、ユーザーのニーズを先取りした製品を創出していたという観点では、一概にメーカー主導という様には言えない側面があった。
日本のメーカーにそういう視点があるかと言えば、結構少ない。内向けで独占的にやって来た業界は特にそうである。結局、規制緩和、グローバル化が進んでいないということなのであろう。
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