第八章「アニメ企業研究 国内篇」6
好調なワンライン系スタジオ
テレビアニメの作品数が減少し、東映アニメーションやサンライズ以外のアニメスタジオは青息吐息のところが多いように見受けられるが、元気な会社も結構ある。それらのスタジオにはある種の特徴があり、それを簡単に述べるなら「ワンライン系」と言えるかも知れない。
ワンライン系とは要はひとつの制作ラインしか持たないスタジオのことである。持てないのではなく持たないという点に注意して欲しい。通常、アニメスタジオはある程度大きくなり、仕事数が増えると制作ラインを増やす。しかし、これらのスタジオは敢えて増やそうとはせず、ワンラインで作品に集中し全力投入しようとするのである(もちろん、仕事が重なる場合もあるので、何が何でもワンラインというわけではないだろうが)。
具体的には京都アニメーション、ufoテーブル、PAワークス、WHITE FOXに代表されるスタジオである(内情はわからないので何とも言えないがシャフトなどもその傾向が見受けられる)。自ずから年間作品数が限られるが、そこに全力投球して行くそして、その原点はジブリにあり、もっと遡ると長編劇場アニメ路線当時の東映動画に行き当たる。
ピクサーのポリシーは作品の一番の宣伝・営業はいいものをつくることであると述べているが、これらのスタジオはそれを実践している(ジブリも然り)。そのため、作品の評価が高まるケースが多く、結局仕事のオファーが増えるという状況となっているようだ(スタジオによっては2〜3年先の作品まで決まっているとか)。
もちろん、そうなってもこれらのスタジオは作品数を増やさず従来通りのペースを崩さない。考えてみれば、ここ数年の話題作はこれらのスタジオによってつくられたものが多いく、おそらく、今後もこれら「ワンライン系」が制作する作品が話題を呼んでいくのは間違いないであろう。
この原稿を書き終わった後にAERAがけいおんのブームを取り上げている。今週の月曜日に出た号(12/19号)であるが、「「けいおん!映画化 夢無き時代に夢ある「日常」」というタイトルで、副題に「京都アニメーション社長「クールジャパン 京都が支える」とあり八田社長のインタビューが載っている。
これを読むと、京アニに代表されるワンライン系のスタジオカルチャーの良さがよくわかる。いずこのスタジオもおそらく同じ様な気持ちであろう。それはそうと、八田社長のインタビューって初めてではないだろうか?AERAが好きなのか、あるいは今後マスコミに登場するのであろうか?
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