『日本映画、崩壊』
(斉藤守彦/ダイヤモンド社1,500円/2007年9月)
『なぜ映画館の入場料は1,800円なのか』
(斉藤守彦/ダイヤモンド社1,500円/2009年11月)
日本の映画料金と興行収入の関係性がわかる本
この著者には遙か昔にお会いしたことがあると思う。それはさておき、なぜ取り上げたかというと、数多い映画本において、映画興業の数字について真正面から取り上げているほとんど唯一の本だと思われるからである。
映画関連の本は数多くあるが、その産業の本質に触れたものは余り目にしたことがない。その意味で著者の本は貴重である(アニメ!アニメ!で「斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー」を連載しているが残念ながら終わってしまった。興行収入などの観点からのアニメ評は毎回楽しみであった)。
http://www.animeanime.biz/all/1110252/
「なぜ映画館の入場料は1,800円なのか」を読んで、日本の映画料金と興行収入の関係性が非常によくわかった。他力(ハリウッドやテレビ局、外部製作会社)頼り映画興行界が努力を怠り、値上げで帳尻を合わせており、それもそろそろ限界に来つつあることを。
考えてみれば、映画そのものもそうだが、トーキー、カラー、ワイドスクリーン、ステレオ音響、シネコン、3Dなど全てアメリカからの輸入サービスである。映画興業史上、日本で生み出された画期的なサービスはない(まるで今のIT業界のサービスみたいだが)。
この著者のようなアプローチというか、発想は結構自分に似ているとのではないかと思う。今後も数字を基調とした書籍をどんどん著して欲しい。
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