2011年アニメビジネス動向回顧
【10大ニースNo.1:東日本大震災1】
様々な局面に及んだその影響
東日本大震災関してはアニメに限らずどの産業面もトップに挙げられるのではないかと思う。アニメ業界においては決定的と言えるものはなかったものの、作品放映や映画興行、そしてイベント面で様々な影響があった。
まずテレビ放送においては発生直後より特別編成となったため、3月終了、4月スタートの新番組に大きな影響を与えた。後日、話数をまとめて放映したり、震災を想起させる部分をカットするなど対応を余儀なくされた(1話まるまるカットされてしまったケースもあった)。
実例を挙げるなら、『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』10話の放映が各局で休止(tvkのみ放映)、またBS11で再放送中の『創聖のアクエリオン』11話が「諸事情により」放映休止。さらに『べるぜバブ』20日の放映が『夢色パティシエール』に差し代わり、27日は第12話として予定されていたエピソードを放映した。当初予定の話数は後日放映された。
劇場映画については、についても19日より公開『映画プリキュアオールスターズDX3』の津波シーンが災害を連想させるとして、一部がカットされての上映となった(パッケージでは差し替え)。
ちょうど盆暮れ興業に次ぐ春休みシーズンの真っ只中にあって、被災地を中心として劇場の営業そのものの中止が相次ぎ、興業的に大きなダメージを受けた。舞台挨拶などのイベントが自粛されたことも相まって3月興業は前年比をかなり下回ったものとなった。
また、実際の制作においても大きな影響があった。まず停電によるもの。東京の西部地区に集積しているアニメスタジオは停電からの影響は免れず、データ損傷のおそれからサーバーの起動すら出来ないという状況となった。既にデジタル技術が不可欠となった制作現場での電力停止は死活問題であり、政権が原発停止の方向に向かっている現状を考えると、電気代の値上げも含め今後も課題となるべき問題であろう。
さらに、ガソリン不足も大きかった。原画回収等、交通手段として日常的に車を必要とするアニメ制作においては、これも深刻な問題であった。
制作以外にも、HDカムなどのメディアを製造するメーカーが被災したため、ポスポロ作業にも問題が生じた。磁気メディアも同様の状況があり、Blu−Rayのプレスラインが確保できず作品の発売日を延期する事例が相次いだ。
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