2011年アニメビジネス動向回顧15
【10大ニースその6:映画動向の変化】
ジブリ映画の不振、映画けいおん!、ナキのヒット
2011年の映画であるが、現在調査中で2010年よりは本数が少なかったようである。興行収入についても映画全体が前年比17%減であったので、おそらくアニメにおいてもそうであろう。
アニメにおける興行収入減の要素を考えるとやはりジブリ作品の不振が大きい。45億円で「不振」はないとは思うが、ジブリに課せられた重責を考えると物足りないのは確かだ。
来年、宮崎作品と高畑作品が両方公開されるとのこと。失礼ながら高畑作品はともかく、宮崎作品には100億円超えというプレッシャーがかかる。同時に日本の劇場アニメの正念場の年ともなりそうだ。
東日本大震災によるドラえもんの興行収入減、ジブリの不振といったもやもやとした劇場アニメ興行が続く中、年末に入りけいおん!ともののけ島のナキがクリーンヒットを飛ばした。けいおん!は20億直前、ナキは15億円前後であろうが、両者のヒットは大いに意義がある。
なぜなら、日本においてジブリ、エヴァ、定番テレビ劇場版アニメ以外興行収入が10億を超すことは希だからである。ここ20年ほどで、それら以外で10億を上回ったのは、記憶の限りだと『あらしのよるに』と『サマーウォーズ』と幸福の科学作品程度である。従ってこの2作品の持つ意味合いは大きい。
特にナキはCGアニメは当たらないという壁を初めて破った。東宝の正月作品ということを考えればそれほど大きな数字ではないが、それでもCGでオリジナルということを考えれば今回のナキは評価されてしかるべきであろう。
テレビ局から「(オリジナル)アニメのヒットは難しい」とさんざん脅された白組の上層部の人間が、「コケたら夜逃げしようかと思っていた」と言っていたが、ヒットして本当によかった。
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