『デジタルコンテンツ法制 過去・現在・ミライの課題』
(2012年3月/増田雅史・生貝直人 著/朝日新聞出版社1,800円税別)
厳しくなる著作権制度
先に紹介した『なんでコンテンツに金を払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門』を見ると、著作権制度がどんどん緩くなっていくように思えるが、この本を見ると逆だ。
例えばTPPが導入されるとダウンロードの違法化の拡大、著作権侵害の非親告化、法廷損害賠償などが実施される。明らかに著作権制度の強化であるが、この背景には、「文藝春秋1月号」にある福井氏が寄稿を読めばわかる。
アメリカの著作権分野は年間10億兆円という外貨を獲得しているとのこと。一方、日本は年間5,600億円もの赤字を出す著作権輸入国なんだそうである。これを考えると著作権が緩くなると日本は得するが、アメリカがとても許しそうもないと思うのだが。
と言いながらアメリカではYouTubeの様な著作権的にはグレイなサービスも生まれている。一見矛盾しているように見えるが英米著作権法の根底にある産業促進の精神の成せる技であろう。
最新の著作権知識をチェックするにはいい本である。
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