『THE MEN WHO WOULD BE KING』
(NICOLE LAPORTE著/Tantor Media, Inc; Unabridged版)
(2010年/Amazonで1,796円より)
ドリームワークスの光と影
ピクサーの翻訳本は出ているが、その対抗馬でドリームワークスに関してはほとんど実情が伺えない状況にある。ということで、491pにもなるこの本を取り寄せ読みはじめた(本文は443pで残りは資料など)。
本書はアメリカのエンタテイメント情報誌「ヴァラエティ」のレポーターによって書かれたドリームワークスの内幕ものである(と言っても著者の関係者へのインタビューや伝記等の公開資料からが主な情報源)。読み終えるのに半年くらいかかったが(精読したという意味ではなく単に翻訳が遅いだけ)、それだけの価値は十分あった。
ドリームワークスは衆知の通りカッェンバーグ、スピルバーグ、ゲフインが1995年に創立した文字通りの「ドリームカンパニー」である。その栄光と凋落、そして実写から切り離されたドリームワークス・アニメーションスタジオへの移行などの経緯が詳しく描かれている。
それで、粗筋をまとめようとするのは至難の業なのであるが、まあとにかく色々ある。アニメーションの部分を取ってもカッェンバーグがディズニーから離脱やドリームワークスでのアニメーション製作の経緯作品毎に解説されているが、それを読むとやはりシュレックまでは試行錯誤の連続であったのは確かなようだ(結果が出ないという意味で)。
しかしながら、この時期(設立から2000年前後)はドリームワークスのみならず、ディズニー(ピクサーではなく)も同じような状態にあったことを考えると、北米でセルアニメは何をやっても当たらない空気が醸成されていたのかも知れない。
あの超絶クオリティの『プリンス・オブ・エジプト』(目がくらむような凄い作品)であっても大ヒットしなかったのである。ディズニーも100周年記念であった『アトランティス』(これも凄い作品だが)がコケてガックリ来ていた。
などと内容を解説しはじめると終わらなくなるのでこの辺で切り上げるが、何らかの形で概要は紹介していこうと思っている。
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