ジブリの従業員300名というのは、鈴木プロデューサーや宮崎監督の発言からすると、全員がいわゆる年金や福利厚生がある「社員」なのであろう。この従業員は東アニとほぼ同じ。しかしながら、収支はかなり異なるはずである。
『ONE-PIECE』『プリキュアシリーズ』『トリコ』『聖闘士星矢Ω』など長期テレビシリーズ中心の東アニに対して、ジブリは劇場作品のみ。東アニ年間制作数千分に対してジブリ120分前後。ジブリのような劇場アニメ中心のビジネスモデルは日本において特殊であるが、メディアの違いや制作分数を見てもそのビジネス構造は根本的に違ってくる。
東アニもジブリも300人の従業員を抱えながら維持していくためには相応の収入がなければならない。東アニの場合、長期テレビシリーズがもたらす安定した収益があるが、それに対してジブリの場合、経済的に支えてきたのは何と言っても宮崎作品である。日本の興行収入ベスト5の4作品が宮崎作品というメガヒットが今日のジブリの礎となっているのだ。
そんなジブリのビジネスモデルは、映画の興行収入で製作を全て回収し、かつ余剰益を上げる。その上で、翌年ビデオを販売して大きな利益を得るというものである。もちろん、この他にもグッズのロイヤリティ(ほとんどトトロだと思うが)や放映権、海外販売といったウィンドウもあるが、大きいのは上映とビデオである。
ところが、そのジブリのビジネスモデルであるが宮崎監督作品の興行収入低下と共に維持できなくなりつつあるようだ。つまり、興行収入で製作費を回収できなくなって来つつあるということである。
以下、番外編2へと続く。
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