市川茂浩『誰も知らなかったケータイ世代』
(07年/東洋経済新報社刊1,575円税込)
私はこの著者の市川氏が経営するフロントメディアの顧問を務めている。具体的に何をやっているかといえば、「まるごとアニメ」という携帯動画サイトのスーパーバイザーを務めているのであるが、これがテレビアニメをまるごと見られるという、一昔前なら考えられなかったサービスなのである。
「まるごとアニメ」HP
http://pc.maruani.tv/?fme
では、どのようなものが見られるかといえば、『エヴァンゲリオン』(劇場版もある)だったり、『ひぐらしのなく頃に』だったり、『女子高生』だったりする。『鉄腕アトム』(2003年版)や『鉄人28号』(2006年版)もやっている。キッズ・ファミリーものから深夜系アニメ、それも萌アニメからハード・アクション、BL(ボーイズラブ)まである。コンテンツの種類と多さでいえばおそかく日本で2番目であると思う。現在はまだドコモの端末でしか見られないが(iメニューの2番目にあるメニュー/検索に入り、動画/ビデオに行くと見られる)近い将来には他のキャリアでも見られるようになるであろう。
ということで、このサービスに昨年の3月に一番乗りしたのだが、当初本当に「ケータイで動画なんか見るのだろうか」という疑問は確かにあった。私のように携帯で通話しかしない人間はそう考える。しかし、実際サービスを開始すると、これが結構見られているのである。特にナンバーポータビリティがはじまった昨年末以来急速な伸びを見せている。このような実情を見るにつれ、つくづく若い世代の携帯事情は違うものだと観じてしまう。
この会社の顧問を務めて以来知り得た若者における携帯事情は目のウロコが落ちるようなものばかりだった。携帯利用時間1日平均3時間、風呂に入る時にも携帯を持ってゆくなど全く違った世界がそこに開けていた。その意味では、この本にも書かれているが、1980年前後から世代が大きく分かれているような気がする。
『誰も知らなかったケータイ世代』には1980年以降の世代には当たり前、それ以前の世代にはほとんど知り得なかった驚くべき事実が書かれている。アニメビジネスに携わる人間ならもちろん、一般のビジネスにも大いに活用出来る本である。普段携帯で通話しかしない40代以上の人間にとって確実に目のウロコが3枚は落ちる本である。
以下余談。市川社長に教えてもらったIT業界事情一番面白かったもの。
それはIT業界社長の三つのタイプについて。何かと話題になるIT業界の社長もすべからく以下のように分類出来るそうである。
1) パワー指向タイプ(ただひたすら上を目指すパワー指向タイプ。ヤフーやら楽天などでしょう)
2) 享楽志向タイプ(六本木辺りで合コンやるのが好きなタイプ。確かにIT社長には派手な噂が多いですな)
3) 技術志向タイプ(権力にも遊びにも脇目を振らず、ただひたすら技術を指向するタイプ)
以上であるが、その市川社長はどういうタイプかというと、これが実はどれにも当てはまらない。ポール・スミスに身を包む野心的な青年実業家であるが、いわゆるゴリゴリの権力志向ではない。遊びは好きだが、好むのはもっぱらゲーム。酒もタバコもやらず車にも乗らない(もちろん自家用ジェット機も)。もちろん、技術には詳しいがあくまで手段と思っている。そういう意味では従来のIT社長のタイプとは大きく異なっている。
コンテンツ系人間である私はいまだにIT系の人間に違和感を覚えるのだが、市川社長はそういった感じがしない。これは目指しているところがそのへんのIT系社長と大きく違っているせいで、そのへんはこの本に書いてあるので是非手に取っ手欲しい。
英会話の上達法しってる?
投稿情報: 英会話の上達法 | 2008/08/28 22:49