執筆の目的
今週から店頭に置かれることになった拙著『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)をきっかけとしてこのブログを開設することとした。もちろん、本を宣伝したいという純粋な下心からであるが、アニメを中心としたエンタティンメント、特にビジネスについて述べて行きたいと思っている。その意味でアニメの作品論について語るブログではないことを予めご了解願いたい。話がいろいろ飛んで、時には戻って来ないかも知れないがその辺も併せてご容赦願いたい。
拙著について概略を簡単に説明すると、タイトルにあるようにアニメビジネスについての現状を数字的に論証しながら、その成功の秘密や問題点を探ったものである。その意図についてはまえがきを読んで貰うのが一番かと思うので拙著から引用する。
「この著書の目的は、わかりにくいとされている日本のアニメビジネスの概要を浮かび上がらせことにある。
経済産業省の試算によると世界に流通しているアニメの六〇%、韓国文化コンテンツ振興院によると六五%が日本製とされている。事実、世界中どこの国でもテレビのチャンネルを回せば大概日本製のアニメを見ることができるし、それを裏付けるように、二〇〇四年に経済同友会が行った「ソフトパワー指数について」というアンケートで、「貴地において人々に好まれている日本の文化を教えて下さい」という問いに、三位の生け花、茶道など伝統文化(二八名)、二位の日本料理(九七名)を上回って、「テレビ番組(アニメ、ドラマ)、映画、音楽、マンガ」(一二七名)が一位になっている。
しかし、その割には今までそのビジネスの実態について触れた文献や書籍がほとんどない。この様な状況では現状の産業分析はもちろん、将来の動向も占えないのは当然である。
日本のお家芸といわれるX線天文学の世界では、衛星によって得られたデータアーカイブを無料公開することで一五〇〇もの論文が生まれたという。もしアニメ産業でも同じような状況になれば、必ず論議が活性化するであろう。
世界有数のアニメ産業国となった日本であるが、ビジネス面においてはまだ確たる地位を築いているとは言い難い。日本のアニメが世界のエンタティンメント文脈の中に銘記される存在となるためには、アニメをつくるだけではなく、それを運用するビジネス面での戦略が必要である。そのためには、まず日本のアニメビジネスについて議論を尽くすことが必要であろう。
勉強不足な点が多々あると知りつつながらも、本書がその論議のきっかけとなることができれば幸いである」
以上であるが、現在アニメに関する本は山のようにあるが、アニメビジネスについて書かれている本はほとんどない。そのためアニメビジネスもなかなかわかりにくい状況があるので、それを知るきっかけになればと思っている。
次回からは、執筆に至る経緯について書いてゆきたい。
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