日本のアニメの数字的把握
アニメ業界で働くようになって次第に独自の構造もわかるようになった頃から、思い浮かんだことを少しずつ書きためるようになった。別に何か目的があった訳ではないが、アニメ産業の数字的把握をしてみたかったし、海外での位置づけなども知りたかったからだ。今考えれば、そういったことで日本のアニメの産業的意味合いを探りたいという思いがあったからであろう。
その意味で是非探りたかったのが日本のアニメの数字的把握である。日本で一体どれくらいのアニメがつくられ、そしてどれだけ売上があるのか。この単純な数字がどこにも見当たらない。アニメ、アニメという言葉だけが先行してその実体が少しもわからないという隔靴掻痒の思いがあった。
とはいえ、統計としての数字は幾つか出されているのだが、その定義が明示されていないため内訳がわからないものがほとんどであった。例えば、パッケージ売上(DVDやビデオ)とあるが、これが果たして小売なのか卸価格なのか、あるいは製作元(製作委員会)の売上なのかがわからない。もし、小売価格や卸価格の売上ならそれはビデオメーカーとしての売上になるので、アニメ業界自体の定義もやり直さなければならない。
『アニメビジネスがわかる』ではそのため定義づけをしっかりやろうと思った。言葉の定義、売上の定義などきっちりしておかないと数字の意味合いがことなって来る。定義を明確にした数字でなければアニメビジネスについて語れないと思った次第である。
同時に注目したのがアニメの持つ付加価値であった。狭義の意味でのアニメ業界(製作者)やそれ以降の流通がどれほどの付加価値を持っているかそれを算出してみたかったのである。つまり、アニメがビジネスとしてどれほどもうかる業種なのかということであった。
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